英国レディング大学での研究生活


経営情報学部 伊田 昌弘
(1996年度 長期海外研修員)


1、レディングの場所と歴史

風景です 私が研究を行なっていたレディングという街は、ロンドンから西へ約40マイル(約65キロ) の地点にあって、オックスフォードとのちょうど中間点にある街である。インターシティと呼ば れる快速列車にロンドンから乗ると30分で到着するという、いたって便利な位置ではあるが、テ ムズ川上流のバークシャーという郊外なので自然も多く、美しい街であった。また、歴史的にも 古い街でアーサー王の遺跡などがあったり、300年ぐらい前の建物もちらほらみかけることが できる古風な街である。大学のキャンパスは120万平方メートルという広大な敷地を持ち、ウサギ なども住んでおり、全く英国風の大学であった。 この大学の歴史は19世紀にオックスフォード大学の分校として開学し、当時貴族の住んでいた荘 園を買収してできたとのことであるから、建物や学内にある湖や散歩コースなどもこの事情と照ら して考えてみるとなるほどと頷けるはなしではある。


2、レディング大学の環境

学内には食堂が3つあり、その一つは教職員用となっている。ただ、教職員用とはいえ、特別な行事のない時には学生も使ってよいことになっており、逆に学生用はメニューも豊富で価格も安いので、教職員からも人気があり、相互に使っているという状況であった。私も学生用の方をよく使っていたのだが、いわゆる「イギリス食」に研究生活の後半には全く飽きてしまって、大学に隣接する我が家まで帰って日本食を食べるということになったが・・・。 学内にはこのほかパブもあり、昼間からビールやワインを販売している。さすが「英国=パブの文化」と実感できた次第である。私はさすがに昼間からアルコールは飲まないが(研究ができなくなる!!)、英国の人々は学生も先生も共に食事と一緒に飲んでいたりするから驚きである。お国柄といったところであろうか? また、健康管理のためのスポーツクラブも大学内にあり、これは広く市民にも開放されている。 さらに学生生活をみると、夏は、夜の10時を過ぎても明るいため(緯度が樺太の北ぐらい)、学生たちによるコンサートや芝居などが週末の夕方になると、学内の野外広場で行なわれ、シェークスピアなどに人気が集まり、また冬は毎週水曜日になると夜12時まで学内でディスコというあんばいであった。


3、レディング大学経済学部

私のいた経済学部は、とりわけ多国籍企業論・国際ビジネス論の世界的メッカであり、 いわゆる「レディング学派」と主に英国以外の研究者から呼ばれてきた歴史をもっている。大学院には「国際ビジネス」の専門コースもあるほどである。J.Dunning名誉教授をはじめ、 M.Casson、S.Bruke、G.Jones、J.Cantwellなどの、この分野では世界的に有名な教授陣がずらりとおり、私は当初、それらの研究者の前で肝胆の冷える思いであった。 研究会活動は非常に活発で、週2回ほど研究会が定例的に行なわれており、そのうちの一回は水曜日の午後から学内の諸先生方によって輪番で行なわれていた。また、もう一回の方は、金曜日の夕方5時から行われるもので、これは学外のゲストを招いての研究会で、英国内だけでなくフランスやドイツ、アメリカなどからもゲストの先生がやってきての、まさに国際シンポジウムが毎週開かれているような状況であった。また研究会の後は学内のゲストルームでディナーがあり、ここの場でも研究内容が吟味されたりするのだから英語のハンデを嫌というほど感じさせられたものである。 自画像です

  また、私の身分は客員教授(Visiting Professor)ということであったが、個人研究室はもちろん、研究に必要なコピーや文房具などがすべて無料で支給され、待遇面では非常によい状況であった。さらに24時間研究室使用の鍵も秘書の方が作ってくれ、コンピュータ・図書館の利用手続きをはじめいろいろと便宜を図っていただいていたことも忘れられない。特に私は学内のコンピュータの他に、日本から私費で持ち込んだコンピュータがもう一台あり、これを回線でつないで、日本の阪南大学にある私のデータとのやり取りを行なう計画だったので、英国からのリモートコントロールに際し、協力していただいたレディング大学のコンピュータスタッフや阪南大学の情報処理研究センターの人々に感謝したい気持ちで一杯である。また日本から私が持ってきたモデム回線が英国では規格その他で使用できないことを知り、文書を何度も書いてオックスフォードから取り寄せたのであるが、研究における熱意は通じるもので、この費用はレディングの大学研究予算ですべて賄われることになった。まさに感激であった。 今後はこの研究成果を論文や学会、そして阪南大学の学生諸君に還元していきたいと考えている。それが日英双方の大学関係者から私が受けた恩返しだと思うからである。

*なお、レディング大学に興味があれば、我々はインターネットのWEBページでその概要を見ることができる。 レディング大学のホームページへ。


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