歩行者専用道路標識の絵





歩行者専用道路の親子が描かれているあの標識には、採用されると賞金が出るということで、ある絵描きの人が親子連れとおぼしき男と少女に、モデルを頼んだ。


しかし、その男はあまり喋らない。
そして、少女も無言で何かを訴えかけるような目をしており、変な親子だなぁと絵描きは思ったのだが、とりあえず絵は無事描き終え、絵描きは二人の連絡先を知りたくなった。


「採用されたらお礼をしますんで、もしよろしければ連絡先を教えて下さい」

絵描きはその親子に紙とペンを渡すが、男は無反応で何も書こうとはしない。

そんな様子に堪り兼ねたのか、少女は横からサッと紙とペンを男から奪うと凄い速さで住所を書き始る。

そして、今までよりも強くすがるような目をしながら、メモを絵描きに渡したという・・・



・・・・・後日、その絵が標識に採用されたというので、絵描きがメモに書かれた住所にお礼のお金を持って伺うと・・・その家では葬式が開かれており、酷い悲しみの空気が辺りに充満していた。

彼は嫌な胸騒ぎを覚え、喪服を着た女性に事の次第を伺うことにした。

「あの子は、先日遺体になって見つかったんですよ」


その喪服の女性は、あの絵のモデルになった少女の母親で、少女は男に誘拐されていたという。

時期を聞いたら、彼が絵を描いた時より前であった・・・・